「幸運な環境」

"こういうところで
文字を書いているその由来を考えてみる。
最初は自分で書きたいものを書いたのが始まりだった。
その当時、体を悪くして演奏が出来なくて、
それなら文字でジャズに参加できないかと思ったのだ。...
音楽雑誌に載ったそれを読んだある編集者が連絡をくれた。
「何かもっとやさしいジャズマン旅日記のようなものを
書けませんか?」と言われた。
この時に、大ファンだった筒井康隆さんの
文体やセンスをまねたらどうかと考えたのは、
われながらあつかましかったが、
結局、そんな考えでやってしまったのだ。"

山下洋輔さんの
日経夕刊のコラムのバックナンバーを読んでいます。
7月25日の「幸運な環境」から。

"周りに変な人間が沢山いて
面白いことがよく起きる環境も幸いした。
たとえば、アルトサックスの坂田明などは、
寝ている犬にむかって田中角栄の物真似(ものまね)で説教をする。
「何ですか、あなたは! 
1億2千万の日本国民が汗水垂らして働いているのに、
昼間からだらだらしていて。
そんなことで恥ずかしくないのですかあ!」と叱るのだ。
犬だから仕方ないと思うのだが。
こんなことがよく起きるので、題材には不自由しなかった。"

たしかに「幸運な環境」ですね。