西江先生

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

"西江先生には初対面の時に驚愕(きょうがく)した。
ジャズ喫茶で一緒にいるときにアート・ブレイキーの
「アフリカンドラム」というドラムソロのレコードがかかると
先生は紙をとりだして、アフリカの地図を書いた。
「このフレーズはこの地方、このフレーズはこの場所、
この叩(たた)き方はこの部族」と聴きわけてメモをした。
そして「こういうことを一人で出来るこの音楽家は、
アフリカ人ではない」と結論づけたのだ。
これにはひっくりかえった。"

これも山下洋輔さんの日経夕刊コラムからもう一つ。
7月18日の「肉態舞踏対ピアノ」より。

「西江先生」とは、言語学者で文化人類学者の故西江雅之氏です。
トマツタカヒロ氏はその薫陶を受けた前衛舞踏家。

"「肉態」と称する独自の格闘技的前衛舞踏を実践するトマツは、
当日、上半身裸で踊り狂い、山下は弾きまくった。
最後にトマツは、「殺されるまで生きる」という西江先生の言葉を連呼し、
サンドバッグを叩きまくり、床に倒れ伏した。
指や拳や肘をつかって音を出していた山下もここで演奏をとめた。
...ちなみにこの催しは、毎年、西江先生の命日に行われている。"

いい話です。