君の瞳に・・・

"「でも君は、割れたワイングラスの破片が散らばっている居酒屋の床を、
周りが止めても、平気な顔をして裸足(はだし)で歩こうとするような女性だ。
危なっかしくて、見ていられないと思った」

「まどろっこしい譬(たと)えだけど、ずっとわたしを守ってくれるのね?」"

今日の日経新聞の連載小説「太陽の門」から。
映画「カサブランカ」の前日譚は、
マドリード攻防戦前夜の主人公リックと
女性カメラマン・ゲルダの愛のひととき。

"リックはうなずいてから、コーヒーカップのハンドルをつまむと、
ゲルダの手にあるそれに近づけながら、言った。

「君の瞳に乾杯」

「......え?」

ゲルダが灰色の瞳を瞬かせている。

「幸せになるための呪文さ。もう戦場に戻る気はないが、君の身は、俺が守る」"

待ってました! いつ出るかと待ってましたが・・・(笑)。