『ボルドーでワインを造ってわかったこと』読了

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"ソーヴィニョン・ブランの特徴香のひとつに、
メルカプト・メチルペンタトニン(4MMP)がある。
この化合物は、低い濃度ではグレープ・フルーツの香りに、
濃度が上がるとツゲ(柘植)やエニシダの香り、
さらに濃度が上がると猫の尿(ピピ・ド・シャ)の香りとして感じられる。"

ゆっくりと毎日少しずつ
『ボルドーでワインを造ってわかったこと』を読み続けてきて、
ほぼ読み終わりました。
栽培編、醸造編、改植編、歴史編、テイスティング編、生活編とあって、
それぞれ実際に体験した人にしか分からない発見と知識があって、
知的興奮をもたらしてくれます。

"閾値(=感度)には個人差があるので、
あるソーヴィニョン・ブランのワインに中程度の4MMPが含まれている場合、
通常の感度をもつ人はツゲの青い香りと感じるのに対し、
この香りに感受性が低い人はグレープ・フルーツの果実香、
感受性が高い人は猫尿の香りに感じる。
おなじ化合物がおなじ濃度で含まれていても、
テイスターの感度によってまったく違うコメントになりうるということだ。"

やっぱり飲むだけの"ノムリエ"には
テイスティング編が面白いですね。
香りを感じ取るのが苦手な私としては、
次の言葉が心に残りました。

"自分が感じている香りを、
並んでテイスティングしている人が
おなじ香りとして感じているとは限らない。
自分と違うコメントが出た場合、
短絡的に「どちらが正しいか」と考えてはいけない。
テイスターによってコメントが異なることは自然なことなのだ。"