サントリーホールでの
イーヴォ・ポゴレリッチ公演を聴いてきた。
今回は
ピアニストの手元はよく見えない右側の席。
開演前には、
いつものようにポゴレリッチがラフな服装で
アンビエント的なメロディーを奏でていた。
●曲目
クレメンティ: ソナチネ ヘ長調 op.36-4
ハイドン: ピアノ・ソナタ ニ長調 Hob.XVI-37
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 op.57 「熱情」
***
ショパン: バラード第3番 変イ長調 op.47
リスト: 超絶技巧練習曲第10番/第8番「狩」/第5番「鬼火」
ラヴェル: ラ・ヴァルス
クレメンティ、ハイドンを優しく弾き始めた
前半でいちばん感動したのは、
優しくゆっくり祈るように弾かれた
ベートーヴェンの「熱情」の第2楽章。
心が洗われるような音色と演奏だった。
正直言って、ポゴレリッチは、
個人的には鍵盤を強く叩き過ぎだと思うけど、
「熱情」の最終楽章は
感情の起伏のダイナミズムとアクロバチックな演奏で凄かった。
後半のショパンのバラード、
リストの超絶技巧練習曲、ラヴェルのラ・ヴァルスは、
ポゴレリッチのよくない面が出たと感じた。
理想のピアニストが1から100の音量で弾くとすると、
ポゴレリッチは
極端に言うと30から120で弾いている感じだ。
100以上は「大きい音」で一緒になってしまうので、
音量の幅が狭まってしまう。
ちょっとうるさく感じて単調だった。
それでも、
120%の力でガンガン弾き続けるのは驚異的。
手元がよく見えていたら、
その体操的な芸の凄さに感銘を受けて、
全体の印象が変わっていたかもしれない(笑)。
"ただポゴレリッチの音って、
時々ものすごい大音量だから、
聴くホールによっては音が飽和しちゃって、
よくわからなくなったりするんですけど、
ピアニッシモは妖しいくらい美しいですよね。"
公演プログラムを読んでみたら、
こんな事が書いてあった。同感ですね。
ていうか、共通認識なんですね。
"調律の方がかわいそう。
ピアノってもっと頑丈にならないのかしら"
御意(笑)。
ただし、アンコールで静かに弾かれた
ラフマニノフとショパンの2曲が夢見るように素敵だった。
憎めないアーティストです(笑)。
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