イザベル・ファウストのバッハ無伴奏

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イザベル・ファウストによる
バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ
全曲演奏会を聴いてきた。

会場は与野本町の
彩の国さいたま芸術劇場ボール。
座席は1階R列20番。
ほぼ正面の最後列で、
ヴァイオリンを弾く姿がよく見え、
音もかなり良かった。

間に約1時間の休みを挟んだ
完全入替制の2部構成だった。

【第1部】
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV 1001
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番 ロ短調
BWV 1002
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ短調 BWV 1003

ファウストの弾くヴァイオリンは、
強い剛性を保ったまま
低音から高音まで弾き切る技量と、
低音はややハスキーで
高音になるとシルキーな
ストラディバリウスの音があいまって
素晴らしい音楽を奏でる。
低音のドスも効いていて
迫力があって魅力的だ。

彼女は、スタイルもいいが
弾き姿が実にカッコいい。
例えはよくないかもしれないが、
まさに"男前"。

印象的だったのは、
第1番パルティータの各曲で、
途中から倍速になるドゥーブルの
曲芸的な楽しさと、
弱音での早弾きの繊細さ。

そして、
第2番ソナタの技巧を凝らした
立体的な音楽の素晴らしさ。
第4楽章の早弾きは
第1部のハイライトだった。
じつに"ロックして"いた。

間の休みは、
劇場にあるビストロで
オードブル盛り合わせと
赤ワインを頼んで過ごした。

【第2部】
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004

重層的なポリフォニーの技巧と
軽快な早弾きが印象的な
第3番パルティータ。
何といっても
長大なフーガが壮大なソナタ。
キャッチーなメロディが揃っている
第2番パルティータ。

第2部は、
心なしかヴァイオリンの音も
よりよく出ている気がしたが、
第1部を上回る出来だったと思う。

アンコールも1曲やったが、
余韻を考えるとなくてもよかったかも。

感激のあまり、
SACDのバッハ無伴奏を購入して
本人にサインまでしてもらう。

素晴らしい演奏でいい1日になった。