言葉の奥に潜む匂いや肌ざわりのようなもの

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"「自分はこんなに悲しんでいる、こんなに苦しんでいる」
というだけなら、短歌はひとりごとの域を出ない。
「人はそれぞれに欲望と苦痛をかかえて生きている。
そんな人々の作る世界は、いつの時代も悲しみに満ちたもの。
自分もその世界の中のありふれた一人であって、
周囲と葛藤しながら生きてきたし、今もそうして生きている」。
そんなふうに考えることが、表現の第一歩と思う。"

今日の 日経新聞文化欄、
坂井修一さんのコラム「うたごころは科学する」から。

"自分の心の醜さに自覚的であることは大切だが、
何でも告白すれば良いというものではない。
他人の悲しみを知るのに鋭敏であるのは良いが、
単なる同情も文芸からは遠い。
そうした醜さや悲しみも、
言葉の奥に潜む匂いや肌ざわりのようなものとして
包み込むように伝えるのが肝要だ。"

人に伝わる表現には必須の話ですね。