後追いの父娘愛

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"それは、父の望む人生を捨てた娘が、
別のかたちで父に近づく道だった。
源義の長男である角川春樹は言う。
「姉は父に対して従順な娘でした。
それが戦争の取材をする過程で、
本当の意味で父と向き合い、父を発見した。
あの2人は"死後の親子"だと私は思っています。
いわば、後追いの父娘愛なのです」"

今日の日経朝刊「この父ありて」(梯久美子)より。

角川書店創業者の長女で作家・歌人の辺見じゅんのです。
父の通夜の日に幼い娘2人を連れて夫の家を出て行ったそうです。
その後、
「戦争の時代を鮮烈に生きた人たちを描いた作品群」を生み出しました。
「後追いの父娘愛」という言葉が切ないですね。

今日の文章には角川源義の句も記載されています。

"入院した日は8月15日だった。
俳人でもあった源義は〈命綱たのむをかしさ敗戦忌〉と詠んでいる。"

入院した日にこれだけの余裕の句を詠むのは流石ですね。
2ヵ月後に亡くなったそうです。