パリのマサオ

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"すっとんで奥に消えた
彼女と入れ代わりに日本人の料理人が出てきた。
のっそりというか、料理人の白い服をきたその若い日本人は、
私の知っている動物でいえば、ケニヤでみたサイだ。"

先日古本で手に入れた『パリの味』から。
〈エイとキャベツのバタ・酢ソース〉の後に
何を食べたらいいか迷っていた筆者は、
「ク・ドゥ・ブッフ(牛のしっぽ)がいいと思います」と
ボソッと答えた料理人に好感を持ちます。

"彼が店でマサオと呼ばれていること等々、
私はまもなく知るようになる。
が、この日本人の青年が、
毎日火の前に立ってフライパンを持ち、
料理の一皿一皿を決めている
事実上のシェフだということを知ったのは、
この小さな店が。やがて『ミシュラン』の〈二つ星〉を
一九八三年にもらってからである。"

著者は増井和子さん。発行は1985年10月。
「私の好きな店 ランブロアジー」という章の文章です。
開店してまだ3〜4ヵ月のことだそうです。

あの「コート・ドール」の斉須政雄シェフの若き姿ですね。
この本が出た年の7月に自分の店を開くために帰国したと書いてあります。
〈エイとキャベツ〉は『十皿の料理』で
読んで以来食べたくてしょうがないんですが、
食べたことがないのが残念。