イギリスの離脱がEUの統合と進化にプラス?

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"英国のEU離脱は西側諸国の同盟の弱体化どころか、
強化につながるかもしれない。
英国が離脱したことで、
EUは「絶えず統合を深化させる連合」に向けて
再び前進しつつある。
EUがしっかりすれば、
"トランプ後の米国"にとっては
より信頼できるパートナーになる。"

昨日の日経新聞オピニオン欄の
FTチーフ・フォーリン・アフェアーズ・コメンテーター(長っ!)のコラムから。
着眼点が面白かった。

"長期的には、
EUと英国の関係は米国とカナダの関係に
似たものに落ち着く可能性がある。
カナダは米国の一部になるつもりはないし、
英国もEUの一部になるつもりは全くない。
カナダも英国も自国の政治的な独立を維持したいため、
自国が米国やEUという近くの大国に比べ
弱い立場にあることは仕方がないと受けとめている。"

これはなんとなく分かりますね。
そして、7月に行われたEU首脳会議で、
「欧州委員会がEU共通債を発行することで
EU全体として市場から資金を調達し、
これを原資とする復興基金を設立することで合意した」
ことがすごく重要だったと解説します。

"非常に低い金利でかなりの規模の資金を
市場から調達できると気づいたEUは今後、
この資金調達力を使い、
集団的防衛など様々な野心的な
新規プロジェクトの資金を工面できるようになるだろう。"

EU共通債の市場が大きく成長していけば、
ユーロの国際的な役割を拡大し、
EUの政治力の強化にもつながると予想しています。

"EUが長く求めてきた
「絶えず統合を深化させる連合」に向けたこの歴史的な前進は、
もし英国がまだ加盟していたら実現していなかった。
「倹約4カ国」(オランダ、オーストリア、スウェーデン、デンマーク)は
今回の合意を巡り強く反対した。
英国がまだ加盟国だったら、
断固として合意に応じない姿勢を期待したはずだ。
だが英国離脱後のEUでは、
仏独連合の動きを止めるのは再び難しくなった。"

イギリスの離脱がEUの統合と進化にプラスになるという
筆者の分析はなかなか面白いと思いました。