東直子「春原さんのリコーダー」

"ただ者ではない、と直感した。
ちなみにこれまでわたしが
ただ者ではないと直感した歌人は三人いる。
すなわち、高柳蕗子と俵万智と、この東直子である。"

「春原さんのリコーダー」
単行本出版時の栞文に
小林恭二さんが書いた文章です。
その歌集が文庫化されたとあっては
読まざるをえませんよね。
昨年10月10日の刊行です。

<廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て>

どうしてこんな歌を詠めるのかと感心しますが、
私がいちばん好きなのはこの歌です。

< 引き出しの奥の小箱にひんやりと汗ばんでいる球根がある>

一読を強くオススメします。