村上春樹『騎士団長殺し』

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村上春樹さんの『騎士団長殺し』を読み終えた。

読み終えての最初の感想は、
これは基本的に
ハードボイルド探偵小説だったんだなということ。

そして、フィリップ・マーロウが
事件を追いかけていっても
必ずしもスッキリとした解決に至らないように、
この小説も開かれた結末になっている。

雰囲気としては、
かつて村上春樹さんが訳した
傑作の結末を思い出した。

"涼気の感じられる日で、空気は透明だった。
遥か遠くまできれいに見渡すことができた。
しかしさすがにヴェルマが向かったところまでは見えなかった。"
(『さよなら、愛しい人』より)

ひとつだけネタバレにならないように書けば、
このストーリーが東日本大震災をも包含した
"物語"になっていることに気づいたときに、
涙がこぼれそうになりました。