ゲルギエフ&辻井伸行

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ヴァレリー・ゲルギエフ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の
コンサートを聴いてきた。
席は1階22列26番。
真ん中より右だが、
ピアニストの手元がかろうじて見える位置。

曲目)
ベートーヴェン:『エグモント』序曲 Op.84
ショスタコーヴィチ:交響曲 第9番 変ホ長調 Op.70
   ***
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 『皇帝』

アンコール)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 op.27-2 「月光」から 第1楽章
リスト:『パガニーニによる超絶技巧練習曲集』から第3番 嬰ト短調 「ラ・カンパネラ」
ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調(遺作)

最初は、
迫力の「エグモント」序曲。

その次は、
ショスタコーヴィチの交響曲第9番。
第二次世界大戦の戦勝を受けて
期待された壮麗で祝典的な作品というより、
ユーモアと諧謔に満ちた作品。
スターリンを揶揄したとも言われて、
のちの苦境を招いた作品らしいが、
とても楽しい演奏だった。

後半の皇帝協奏曲は、
素晴らしくチャーミングな演奏。
感動しました。

彼のピアノは、
音が綺麗でリリカルによく響き、
リズム感がよくて、ロマンティック。
「皇帝」というととかく男性的なイメージだが、
音の強弱を
思いっきりメリハリをつけた繊細な演奏だった。

感動的だったのは、第2楽章。
ゲルギエフとオーケストラが、
ゆったりとしながらも
緊張感に満ちた演奏を始めると、
ピアノがとにかく繊細なタッチで
甘美なメロディを夢見るように奏でる。
聴衆のすべての気持ちが辻井伸行の手元に引き寄せられて、
時が止まったかのような魔法の瞬間が訪れた。

最終の第3楽章では、
そのまま突っ走って大団円。
リズミカルなクライマックスが気持ちいい。

大拍手の中、
アンコールで弾いたベートーヴェンの「月光」が、
また素晴らしかった!
まさに幽玄の世界の仄かな月明かりを表現していた。

「皇帝」第1楽章に期待する
迫力とか剛直さではやや物足りない気もしたが、
辻井伸行ならではのピアノの世界観があるので、
それはそれでいいのかもしれない。

ゲルギエフと一緒に何度も観客に挨拶しながら、
ふたりとも幸せそうだった。

こちらも幸せになりました。
ありがとう。