書評の快楽

実家への行き帰りに
丸谷才一「快楽としての読書 日本篇」を読んだ。

週刊朝日の「週刊図書館」と毎日新聞「今週の本棚」が
日本の書評に果たした役割と
書評全体を見渡した幾つかの文章と、
丸谷本人による日本の本の書評を収めたアンソロジー。

親の都合で毎日系が主だったわが家には
週刊朝日はなかったので、
もっぱら「今週の本棚」しか知らないが、
書評における
この作家の成し遂げたものの大きさに、
改めて感心した。

彼のコラムは、
批評・コラムのマニアとして、
植草甚一、村上春樹、中村とうようと並んで、
機会があれば必ず読み続けてきた。

論旨の明快さ、オチの驚き、
実作者として、学者としての見識に
裏付けされたパースペクティブ、
そして、
なんといっても文章の面白さと技に魅了される。

できれば、著者名順ではなく年代順で、
また、叶わぬ願いだが、
全体にもっと長い文章で読みたかった。