小説家の心意気

先日のエルサレム賞授賞式での
村上春樹さんの発言
話題を呼んでいるようだ。

正確な全文
なかなか手に入らなかったことで、
かえって、
興味をそそった面もあったかもしれない。

しかし、
彼の小説家としての立ち位置、
自分の役割についての認識が
明快に示されている。
彼の小説群の軌跡に、
一本の太い”貫く棒の如きもの”、
つまり、
小説家の心意気をかいま見た気がする。

   “Between a high, solid wall and an egg that breaks against it,
   I will always stand on the side of the egg.”
    「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、
   私は常に卵側に立つ」ということです」

この言葉は、今後長年にわたって
引用されることになるだろう。

そして、以下の言葉も。

   私が小説を書く目的はただ一つです。
   個々の精神が持つ威厳さを表出し、
   それに光を当てることです。
        <中略>
   私は、生死を扱った物語、愛の物語、
   人を泣かせ、怖がらせ、笑わせる物語
   などの小説を書くことで、
   個々の精神の個性を明確にすることが
   小説家の仕事であると心から信じています。