「山本昌邦備忘録」

現五輪代表監督の本「山本昌邦備忘録」の
文庫本が出たので読んでみた。
単行本版も持っているのだが、
印象的なのは、
山本監督の「水分補給」に対する
専門家としての高い自負。
この点に関するトルシエの無知を
かなり批判している。
長い間、暑い東南アジアの気候に
苦い経験を続けてきた日本サッカーの
経験値なのかもしれない。

そして、p.183からの
「世界基準に身をおくということ」の章が面白かった。

世界との差はまずパス・スピードにあるということ。
これは、つねづね僕も考えていたこと。
昔、三浦知良がセリエAのパスのことを
「シュートをするみたいな勢いでパスする」と
言っていたのを思い出した。

そして、”ゴン”中山雅史が
得点を量産するに至った練習法。
前を向いたまま1回のタッチで
後ろからのパスをシュートに持ち込むための練習だ。
スペイン・リーグとJリーグの大きな差が
後ろからのパスの受け方だと思っていたので、
これも再確認することができた。

もっとも印象に残ったのは、
意外にも山本監督はトルシエを
代表監督として高く評価しているんだなあ、ということ。

オリンピックの年に読むにふさわしい本だった。