"猫"の悼句

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"金之助は庭を見回し、
「桜の木の下にでも埋めてやりなさい」と言った。
やがて埋葬が終ると、
金之助は書斎から筆を持って出て来て、
ちいさな墓標に"此(こ)の下に稲妻起る宵あらん"としたためた。"

今朝の日経「ミチクサ先生」から。
「吾輩は猫である」のモデルになった猫に夏目漱石が書いた悼句と、
猫に因んで読まれた俳句が紹介されています。

"猫が死んだ翌日、
金之助はあの猫を知る松根東洋城、鈴木三重吉、
小宮豊隆らに猫の死亡通知の葉書を出した。
"ただし『三四郎』執筆中につき会葬には及ばない"と付け加えた。
東洋城は通知を受け取り、
"先生の猫が死にたる夜寒かな"と一句したためた。
この猫に人一倍世話になった高浜虚子は、
墓前へ供物まで持って来て
"吾輩の戒名もなき芒(すすき)かな"と詠んだ。"