"仔(こ)猫は、金之助が絵を見せると、
小首をかしげてしばらく見つめてから、
ミャーゴといつもとは少し違う声を出した。
金之助は、
その初めて耳にする声質に、
この仔猫が自分の絵について
何かを告げようとしている気がした。
‥
――待てよ、そうだとしたら。
仔猫の目から見た私も、鏡子も、娘たちも、
いやすべての人間の行動が、ひどく滑稽に映って、
こっそり笑ったり、馬鹿にしたりしているかもしれない......。"
今日の日経新聞連載小説「ミチクサ先生」から。
"――うん、そうだ。こいつが見た、
今の人間社会を正直に文章にすれば、
それはそれで面白いかもしれん。
‥
わたくしは......、いや、そうじゃない。
吾輩は......。オウ、これがイイ。吾輩が似合う。
それでどうした。おまえは誰だ?
吾輩でござるか?
吾輩は猫である。
オウ、それで?
吾輩は猫である。名前はまだない。
金之助は楽しくなった......。"
こちらも楽しくなってきました(笑)。
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