写真の秘密

ロジェ・グルニエ「写真の秘密」を読了。

軽いエッセイなので
短すぎてうまく意味の取れない
文章もいくつかあるが、
深い思索を感じさせる
気になったフレーズをまとめてみる。

   「だれかを写真に撮ることは、
   その人物を少しばかり奪い取ることにほかならない」

ん? どこかで聞いたようなセリフ。
「さよならを言うことは、
少しだけ死ぬことだ」だっけ?

   「観光客は一体どうして、
   エッフェル塔の写真を撮るのだろう?
   ーーエッフェル塔の写真など
   山ほどあるとういうのに。」

答えは、

   「それは、エッフェル塔を
   わが物とする必要からだ。
   いとも名高きあの建造物を、
   「自分の」カメラがキャッチするのだ。
   …シャッターを押すことによって、
   世界が自分の所有となるがごとき
   感情を抱いているのだから」

   「書くことの道に入ると、写真というのは、
   自分で撮ったかどうかにかかわらず、
   思い出や資料といったものを
   越えた存在になる。
   それは想像力のためのトランポリン、
   インスピレーションの源泉なのであって…」

   「…昔の写真を前にすると、
   わたしは、現在とは、
   ひとつの異国ではないかという
   印象を禁じえない。
   わたしはその異国に追放されて
   暮らしているのである」

   「…(写真家のダイアン・)アーバスは、
   こう宣言している。
   「一枚の写真とは、
   ある秘密をめぐるひとつの秘密なのである。」」