茨木和生選から
蛤となっても被曝する雀(大船渡・桃心地)
「?」という感じだが、
「雀が蛤になるとは、
荒唐無稽(こうとうむけい)な想像だが、
雀と蛤は色やかたちが似ており、
それでこんな季語が生まれたのだろう」
(週刊:新季語拾遺 2002.10.13)
という意味を知ってから読むと、
茨木さんの解説によって痛切さが見えてくる。
「空にいた雀のときも被曝し、
蛤となって海中にいても被曝する」
もうひとつ。
潮をのみ辛苦(しんく)をのみ燃えよもみじ(東京・千葉奈津子)
この方も大船渡出身だそうだ。
「同郷の人と立上り歩みたい」
という前向きな姿勢に心動かされる。
さらに、先週の俳壇から。
まず、
黒田杏子さんの選評のように「不思議な句」。
石ころも寒かろ骨も寒かろう(岩見沢・木村弥生)
もうひとつ。
9月に石巻に行った時のぼくの印象を
そのまま詠んでもらったような句。
「秋の蠅」が効いている。
整然と積まれし廃車秋の蠅(那須烏山・鈴木奎子)
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