ベートーヴェン交響曲全曲演奏会①

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”フランス・ブリュッヘン・プロデュース
ベートーヴェン・プロジェクト”の
ベートーヴェン交響曲全曲演奏会
第1日目に行ってきた。
この演奏会では、

   1日目:第1番、第2番、第3番
   2日目:第4番、第5番
   3日目:第6番、第7番
   4日目:第8番、第9番

と番号順に演奏する。
これが無策のようでいて
なかなかいい組み合わせだと思う。
CDでは時間の関係で難しそうだ。

演奏は、
ベートーヴェン交響曲1番・2番は、
弦の弱音が美しかった。
生で聴くのはどちらも初めてだ。
1番の可憐さがけっこう気に入った。
2番はベートーヴェンらしいしつこさと、
リズムの盛り上げ方など、
ベートーヴェンの得意技が全て揃っている感じ。

パンフレットに書いてあった、
「第1番はハイドンから始まって
それを進化させた交響曲、
それからさらに一歩踏み出したのが第2番」
というブリュッヘンの解説の意味がよく分かる。

コントラバス奏者が3人という
2管編成なので、
最強音の音量に限りがある。
そのせいか、弱音は素早く演奏して、
強音は逆にやや重厚にユックリ弾いて
コントラストをつけていた。
絵に例えると、
色を塗るというより線描画。
各声部がくっきりして、
音楽の構造が実に分かりやすい。

驚いたのは、
3番でブリュッヘンは
よろよろと出てくるなり
指揮台に上がるか上がらないかで
突然、拍手の中でスタート
なかなか見せる。

今日のコンサートの白眉は、
もちろん第二楽章の葬送行進曲。
ゆったりと演奏して、
キッチリ盛り上げて聴かせる。
素晴らしかった!

第二楽章とは対照的に、
第三・第四楽章は飛ばしに飛ばしす。
こんなに軽く終わった
「英雄」を聴いたのは初めてかも。

昨年のウィーン・フィルの
「英雄」とは正反対だった。
ウィーン・フィルは、
コントラバスの数だけでも倍以上で、
音も綺麗に織り込まれた
絹布のざわめきのようだが、
ブリュッヘンは木綿、
いや麻のような手触りか。

アンコールはなし。
この出来なら、
11日の
4番・5番はすごいことになりそうだ。