"シューベルトの音楽を 表現すべき時"

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「やっとシューベルトの音楽を
表現すべき時が来たと感じたからです」

7年ぶりのレコーディングで
シューベルトを取り上げたのはなぜかと訊かれて、
ダン・タイ・ソンはこう答えたという。

ショパンとリスト、そして
シューベルト最後のピアノ・ソナタを
組み合わせたプログラムの
ダン・タイ・ソンのリサイタルを聴いてきた。

●曲目
ショパン: 前奏曲 嬰ハ短調 op.45
      マズルカ 変ロ長調 op.17-1
      マズルカ ヘ短調 op.7-3
      マズルカ 嬰ハ短調 op.50-3
      スケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39
リスト: 巡礼の年第1年「スイス」から ジュネーヴの鐘
     ベッリーニ「ノルマ」の回想
      ***
シューベルト: ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960

アンコール)
ショパン: ノクターン Op.20 嬰ハ短調「遺作」
シューベルト: 四つの即興曲D899 Op.90より第3曲

シューベルトはもちろん、
前半の最後の3曲、
スケルツォ以下のダイナミックな曲が素晴らしかった。
ダンが
「もはや涙も枯れ果て、穏やかに運命を受け入れ、
微笑みさえ浮かべて」いると表現し、
とてもゆっくり弾かれたピアノ・ソナタ、
そして、アンコールで弾いた即興曲は、
鳥肌が立つような美しさだった。

それに比べると、
今日のショパンはほんの少しだけ
軽みを欠いた気がしたが、
全体としては大満足の演奏だった。
弾いている姿勢の美しさも印象的。

最近は
"アンコールいらない派"だったけど、
やっぱり当たりの曲もあるから侮れません(笑)。