パティ・スミスとフィリップ・グラスでアレン・ギンズバーグを

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すみだトリフォニーホールで行われた
フィリップ・グラスとパティ・スミスによる
「THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ」
公演を観てきた。
座席は1階1列25番で、
パティに触れそうな真ん前だった。

公演は、
娘のジェシー・パリス・スミスのピアノと
チベットの音楽家テンジン・チョーギャルによる
オープニング・アクトで始まった。

控えめなジェシーのピアノと語りと、
優しくも激しいテンジンの演奏は
初めて聴いて衝撃を受けた。
ローリー・アンダーソンとも共演したことがあるという
テンジンの圧倒的な声は
その存在そのものが驚きで、
言葉を超えた感動が伝わってきた。
弦楽器を弾きながら
朴訥に歌うテンジンの音楽を聴いていると、
八重山の歌を歌った池田卓が思い出される。

そして、
フィリップ・グラスの音楽に乗せて
パティ・スミスがアレン・ギンズバーグの詩と自作の詩を、
素晴らしいコラボレーションで演じきる。
詩の朗読で頭角を現したというパティの
場数を踏んだ自信に満ちた語りと、
予想以上に語りに反応する
グラスのピアノが静かな興奮を呼ぶ。

ああ、このまま歌い出してくれたらなあ、
なんて思ってしまった。
実際、歌い出した結実が
パティ・スミス・グループなんだなというのがよく分かった。

いったん引っ込んだ後は、
キャリアの最初から一緒に音楽を作り上げてきた
ギタリストのレニー・ケイと娘のジェシーを従えて、
「ダンシング・ベアフット」
「ピッシング・イン・ア・リヴァー」などを歌い上げる。
娘のことをを歌ったという「ウィング」は、
「今夜はモハメド・アリに捧げます」と、
死亡が報じられた伝説のボクサーを追悼。
曲は、すべてゆったりとした
アコースティック・ヴァージョンでとてもよかった。

その次に、
フィリップ・グラスが「メタモルフォセス」
「クロージング」をソロで演奏。

最後は、みんなで出てきての
アンコール「ピープル・ハヴ・ザ・パワー」。
パティは聴衆を立たせて最高の盛り上がりを作り出す。

素晴らしいプロジェクトだった。
6月7日のパティ・スミス自身の公演が楽しみだ。

<セットリスト>
●Philip Glass and Patti Smith
1.Notes to the Future
2.Wichita Vortex Sutra(Allen Ginsberg cover)
3.The Blue Thangka
4.Sunflower Sutra(Allen Ginsberg cover)

●Patti Smith, Lenny Kaye, and Jesse Smith
5.Dancing Barefoot(Patti Smith Group song)
6.Wing
7.Pissing in a River(Patti Smith Group song)

●Philip Glass
8.Metamorphosis Two
9.Closing

●Philip Glass and Patti Smith
10.On Cremation of Chögyam Trungpa Vidyadhara(Allen Ginsberg cover)
11.Magic Psalm(Allen Ginsberg cover)
12.Footnote to Howl(Allen Ginsberg cover)

●Patti Smith, Lenny Kaye, Jesse Smith, Philip Glass, and Tenzin Choegyal
13.People Have the Power

公演後は、近所にある何回か来た南インド料理屋
「ヴェヌス サウス インディアン ダイニング」へ。
シェフの故郷チェンナイ地方のチキンカレーがとても美味しかった。

ごちそうさまでした。

追記)
ROCKIN'ONのレポートがありました。