2度目の「トリスタンとイゾルデ」

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昨日は2時から7時まで5時間、
初来日だというパリ国立オペラ
「トリスタンとイゾルデ」を観劇。

大きなスクリーンに
ヴィデオ映像を流しながら、
簡素なセットであまり動きのない演出。
寄せては返す波のような
音楽に合わせた波のイメージや、
水、火、森、空などの映像が流れる。

人間が出てくる映像は
やや生すぎてベタな感じだが、
登場人物が少なく単調になりがちな
このオペラには効果的だろう。

歌手では、
イゾルデとマルケ役の声が素晴らしかった。
トリスタンは声の大きさが
ちょっと物足りなかった気がする。

オーケストラは、
前回聴いたベルリン国立歌劇場の
強靱な音とは趣が違い、
甘く耳触りがじつに滑らかな弦楽器と、
柔らかくふくよかな管楽器の音が、
このオペラによくマッチしていた。
とくに、
多用されるオーボエ奏者の腕は
ただ者ではなさそうだ。

圧倒的な水のイメージを使った
ラストの昇天の映像は、
発想はありきたりだが
映像自体の迫力と説得力があった。

しかし、
役柄上しょうがないとはいえ、
第3幕でのトリスタンは
横になりながら歌ったりして大変そう。

満員の観衆に、
大歓声で迎えられたカーテンコールで
登場人物の衣装をよく見たら、
全体にじつに簡素で、
ユニクロのジャージといった感じ。

それでも、
今回の公演には大変感激した。
最後のシーンで、
トリスタンとイゾルデは抱き合うこともなく
やや不思議な感じがしたが、
それについての素晴らしい解説があった。
この筆者・林田直樹氏の感想は、
ぼくの感想と全体的に重なっている。
こちらにも映像について絶賛の感想が・・・)

音楽だけでなく、
公演全体の出来として
ベルリン国立歌劇場をも上回る
素晴らしいものだったと思う。

最後に、
カーテンコールで
楽団員全員が舞台に登っているのも
うれしい演出で、後味がよかった。